連載第46回/デッキフィルについて考えてみよう
多くの輸入艇には、デッキフィルまたはフィラーパイプと呼ばれる、燃料や清水の給水口があります。デッキフィルは、ボートの燃料タンク、清水タンク、汚水タンクなどに接続される重要なハードウェアです。
デッキフィルは、エンジンフードなどを開けることなく給油や給水を行えるように、デッキ面に設置されています。また、上を歩いてもつまずきにくいように、デッキ面に対してフラットに近い形で取り付けられているものが多くあります。
デッキフィルの材質
デッキフィルの材質は、クローム仕上げのブロンズ製が最も多く、その次にステンレス製、クローム仕上げのジンク製などが多いようです。
海上で使用する部品のため、見た目だけでなく、耐食性や強度も重要です。輸入艇のベイライナーやシーレイなどに使われているデッキフィルを考えると、用途別に大きく3種類に分けられます。
GASと刻印されたデッキフィル
燃料を給油するためのデッキフィル
第一に、「GAS」と刻印されているタイプがあります。これは、主にガソリンまたは軽油を給油するためのパイプラインに接続されています。
燃料用デッキフィルは、給油時に使用する非常に重要な口です。清水用や汚水用と間違えると重大なトラブルにつながるため、刻印表示を必ず確認する必要があります。
WATERと刻印されたデッキフィル
ギャレーやシャワー用の清水を入れる給水口
第二に、「WATER」と刻印されているタイプがあります。これは、ギャレーやシャワー用の清水を給水するための給水口です。
プレジャーボートでは、清水タンクの水をギャレーの蛇口やシャワーに使用することがあります。そのため、WATER表示のデッキフィルは、清水タンクへ給水するために使います。
ちなみに、プレジャーボートのトイレは、直接海水を取り込んで洗浄するタイプも多くあります。そのため、トイレの洗浄水に清水タンクの水を使うケースは、一般的には多くありません。
WASTEと刻印されたデッキフィル
汚水タンクに接続された吸引用・排出用の口
第三に、「WASTE」と刻印されているタイプがあります。日本のマリーナではあまり使用する機会が多くないデッキフィルですが、輸入艇では重要な役割を持っています。
このWASTEデッキフィルを、トイレ用の清水タンクと勘違いして給水してしまう人もいるようですが、それは避けなければなりません。
「WASTE」とは、トイレの汚水タンクに連結しているデッキフィルのことです。本来は、このデッキフィルにマリーナのバキュームホースを差し込み、汚水を汲み上げたり、汚水をポンプで送り出したりするために使われます。
米国艇に多いホールディングタンクの考え方
米国では、プレジャーボートの汚水をそのまま水域に流すことを規制しているため、一旦、汚水タンクに溜めておき、後でマリーナで処理してもらう方法が一般的です。
米国で生産されたプレジャーボートには、このシステムに対応するため、「HOLDING TANK」と呼ばれる汚水タンクが標準装備されていることがあります。
日本では、マリーナの設備や運用状況によって汚水処理の環境が異なるため、輸入艇を使用する場合は、WASTEデッキフィルと汚水タンクの構造を理解しておくことが大切です。
デッキプレートキーの役割
これらのデッキフィルは、プレートキーと呼ばれる特殊な工具を使用して開閉することができます。
このキーは、ほとんどのデッキフィルに共通して使用できるものが多く、材質などを特に問わず使える場合があります。キーホルダータイプや万能型プレートキーなど、さまざまな形状があります。
おすすめとしては、デイビス社のユニバーサルデッキプレートキーのような、複数のデッキフィルに対応しやすいタイプが実用的です。
デッキフィルは表示を確認して使い分ける
デッキフィルは見た目が似ていても、GAS、WATER、WASTEで用途が大きく異なります。燃料、清水、汚水を間違えて入れてしまうと、修理や洗浄が必要になる大きなトラブルにつながります。
給油や給水を行う前には、必ずデッキフィルの刻印表示を確認し、専用のデッキプレートキーで正しく開閉するようにしましょう。
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