連載第41回/輸入ボートの電装品について考える
最近は、マリーナなどの係留設備が整い、陸電を使用できるボートも多くなってきました。国産ボートでも、マリーナ滞在型のボートが人気を集めるなど、プレジャーボートはアウトドアレジャーとしての地位を高めています。
しかし、輸入ボートの電装品を日本のマリーナで使用する場合、電圧の違いに注意が必要です。特に米国製ボートでは、117Vや120V仕様の電化製品が搭載されていることがあり、日本の100V陸電では本来の性能を発揮できない場合があります。
日本のマリーナ陸電は100Vが基本
日本では、マリーナの陸電として、原則として100Vの交流電源が供給されているケースが多くあります。接続プラグの形状が125V/30Aであっても、実際に供給されている電圧は100Vである場合があります。
ところが、ボートオーナーの中には、マリーナの陸電ポストから125Vが供給されていると勘違いしている方もいます。プラグやコンセントに「125V」と表示されていると、電圧も125Vだと思ってしまいやすいためです。
実際には、表示されている125Vはプラグやコンセントの規格表示であり、必ずしも供給電圧そのものを示しているとは限りません。使用前には、マリーナの管理者や設備表示で供給電圧を確認することが大切です。
100Vで117V・120V機器を使うと起こりやすい症状
輸入ボートで「冷蔵庫が冷えない」「温水器の水が熱くならない」「電気コンロが十分に熱くならない」と感じる場合、機器の故障ではなく、供給電圧の不足が原因になっている可能性があります。
日本仕様として改造されていない多くの輸入ボートには、100V電圧を117Vや120Vへ昇圧する電圧変換器トランスが内蔵されていない場合があります。
特に、ジェネレーターと呼ばれる発電機を搭載していない30フィート以下の輸入ボートでは、電圧変換に未対応の仕様であることが少なくありません。せっかくのフル装備ボートであっても、米国製の電化製品が正常に動作しないことがあります。
120V仕様機器を100Vで使った場合の出力低下
では、120V仕様の電化製品を100Vの電圧で使用すると、どのような状態になるのでしょうか。実際の使用感としては、2割から3割程度のパワー低下を感じることがあります。
特に影響が大きいのが冷蔵庫です。冷却能力が不足し、まったく冷えないと感じるほど性能が低下する場合もあります。温水器や電気コンロのように熱を発生させる機器も、十分な出力が出ないことがあります。
こうした症状がある場合、機器単体の不具合だけでなく、供給電圧と機器仕様の差を確認する必要があります。
電圧変換器トランスを使う方法
対策として、マリーナ陸電と冷蔵庫などの電化製品との間に、電圧変換器トランスを設置する方法があります。100Vを117Vまたは120Vへ昇圧することで、輸入ボートに搭載された電化製品が本来に近い状態で作動しやすくなります。
50Hzや60Hzといった周波数の違いは別問題として、電圧が適正に近づくだけで、機器の作動状況が大きく変わる場合があります。冷蔵庫や温水器の能力不足で悩んでいる場合は、電圧変換器トランスの導入を検討する価値があります。
発電機付き大型ボートの場合
発電機が搭載されている大型ボートでは、発電機自体が115Vから120V仕様である場合が多く、電化製品のパワー不足といったトラブルは比較的少ないようです。
つまり、陸電では100Vしか供給されていなくても、船内発電機を使用すれば、米国仕様の電装品が想定に近い電圧で動作する場合があります。ただし、発電機の仕様や出力容量、配線系統はボートごとに異なるため、必ず現物の仕様を確認する必要があります。
トランス設置時の注意点
もし、米国製ボートの電化製品に非力さを感じる場合は、電圧変換器トランスの取り付けを検討してもよいでしょう。ただし、トランスの設置場所には注意が必要です。
トランスは水気に弱いため、エンジンルームへの設置には向いていません。通常は、冷蔵庫の裏や配電盤の裏など、水がかかりにくく、点検しやすい場所に設置することが望ましいとされています。
また、トランスは使用中に多少発熱します。そのため、周囲に熱がこもらないようにし、十分な放熱スペースを確保して使用することが大切です。
輸入ボートの電装品は電圧確認が基本
海外製、特に米国製の電化製品を使用する場合は、電圧に注意する必要があります。プラグ形状が合うからといって、電圧や周波数、消費電力が適合しているとは限りません。
輸入ボートの冷蔵庫、温水器、電気コンロ、バッテリーチャージャーなどに不調を感じた場合は、機器の故障と決めつける前に、供給電圧、機器仕様、発電機の有無、トランスの有無を確認してみましょう。
電圧の違いを理解し、適切な電圧変換器トランスを選ぶことで、輸入ボートの快適装備をより実用的に使いやすくなります。
上記商品に関連する販売ページはこちら
|