連載第47回/マリンバッテリーのケーブルについて考える
滞在型のプレジャーボートが増えている中で、ボート内で使用する電化製品、照明、航海機器の設置も標準化されつつあります。それに伴い、居住性はさらに向上し、電気系統の配線類も増えてきています。
最近では、インバーターをバッテリー回路に取り付け、12Vを100Vに変換する装置も一般化してきました。また、12Vは自動車用アクセサリー電源と共通する部分もあるため、オーナー自身がパネル周りを自作・拡張することも可能になっています。
マリンバッテリーケーブルとAWG表記
現在、米国より輸入されているバッテリーケーブルやアクセサリー用ケーブルは、ワイヤースペック表のように、AWGという単位で表されている場合が多くあります。
AWGは、数字で電線の太さを表す規格です。一般的には、数字が小さいほどケーブルは太くなり、より大きな電流に対応しやすくなります。
ケーブル長でサイズが変わる理由
たとえば、12V・10Aという性能のウォーターポンプのマニュアルを見ると、配線するケーブルのトータル長が6m未満であれば#14AWG、11m以下であれば#12AWG、17m以下であれば#10AWGのケーブルがメーカー指定されている場合があります。
トータル長によってケーブルサイズが変わるのは、ケーブルの抵抗によって電流ロスや電圧降下が発生するためです。
指定どおりのケーブルサイズを使用しないと、ウォーターポンプやアクセサリー類が本来の性能を発揮できないことがあります。特に12V配線では、わずかな電圧降下でも機器の動作に影響が出やすいため注意が必要です。
インバーター配線では太いケーブルが重要
以前、1500Wのインバーターを設置した方で、どうしても思ったような電力が得られず困っていたケースがありました。そこでケーブルを2段階太いサイズに変更したところ、正常に動作するようになったという事例があります。
インバーターは大きな電流を必要とするため、バッテリーとの間に細いケーブルを使用すると、電圧降下が大きくなり、本来の出力が得られない場合があります。
また、適合しない細いサイズのケーブルを使用すると、発熱し、発火するおそれがあります。これは、細いホースに大量の水を流すのと同じような原理です。大量の電流を必要とする場合は、十分に太いケーブルが必要です。
AWG/ケーブルワイヤースペック
以下は、ボート用配線やバッテリーケーブルを選ぶ際の目安となるAWGサイズ表です。実際の選定では、使用機器の消費電流、ケーブル長、電圧降下、配線環境を合わせて確認してください。
| AWG/ケーブルワイヤースペック |
| サイズ |
ケーブルの太さ |
適合アンペア |
| AWG16 |
1/8" |
3.1mm |
10A以下 |
| AWG14 |
9/64" |
3.5mm |
15A以下 |
| AWG12 |
5/32" |
3.9mm |
20A以下 |
| AWG10 |
7/32" |
5.5mm |
35A以下 |
| AWG8 |
5/16" |
7.8mm |
55A以下 |
| AWG6 |
11/32" |
8.6mm |
85A以下 |
| AWG4 |
13/32" |
10.2mm |
140A以下 |
| AWG2 |
15/32" |
11.7mm |
200A以下 |
| AWG1 |
17/32" |
13.3mm |
200A以上 |
| AWG1/0 |
9/16" |
14.1mm |
200A以上 |
| AWG2/0 |
5/8" |
15.6mm |
200A以上 |
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上記の目安はケーブル長が3m以下の場合です。3m以上になる場合は、電流ロスや電圧降下を考慮して、より太いサイズを検討する必要があります。バッテリーおよびインバーターケーブルには、用途に応じてAWG2〜AWG6程度のサイズが使用されることがあります。
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バッテリーケーブル選びの注意点
ボートの電装品は、配線距離が長くなりやすく、湿気や振動の影響も受けます。そのため、単に電流容量だけでなく、ケーブルの被覆、端子処理、固定方法、防水性も重要です。
特にバッテリーまわりやインバーターまわりは、大電流が流れるため、端子の緩みや腐食にも注意が必要です。ケーブルサイズが適切でも、端子部分の接触不良があると発熱や性能低下の原因になります。
安全に電装品を使うためには、機器のマニュアルに記載された推奨ケーブルサイズを確認し、配線距離と使用電流に合わせたケーブルを選ぶことが大切です。
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